高野優のリカバリーストーリー。

高野 優

2024/12/16

Manga Artist リカバリーストーリー
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鮮やかな花が一輪でも多く、降り積もりますように。
 
こちらは、漫画家の高野優さんのリカバリーストーリーです。
エピソードのアートも、高野優さん作です。きっといつかは笑い話!
 
(子育てに関する高野優さんへのご質問募集は、終了致しました。
ご質問をお寄せ頂きました皆様、ありがとうございました。)

スクリプト・文字起こし

00:01
リカバリーストーリーは、様々な人に悩みから立ち直った経験や、日頃のストレス解消法を自由に話してもらうポッドキャストです。初回のテーマは「わたしのリカバリーストーリー」です。

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リカバリーと聞いて、真っ先に浮かんだのが実は「リカバリーサンダル」なんですね。ご存知ですか? 運動やトレーニングのあと、足の疲れを回復するために履くサンダルで、一般的なサンダルと比べて機能性が高く、確かに回復が早く感じます。このサンダルに慣れると、今までのサンダルは一体…と思ってしまうほどです。そんなところから偶然知った「リカバリー」という言葉。わたしなりに感じたことを、お聴きくださっているあなたと一緒に考えていけたらなぁ、と思います。

01:02
さて、「RECOVERY」を直訳すると「回復」。冒頭で話したのは、足の疲れを回復するためのリカバリー。ここからは、心の疲れを回復するためのリカバリーについて、初回からちょっと重いテーマかもしれませんが、喪失体験についてお話をさせてください。

01:29
もうね、半世紀以上も生きていると、数えきれないほどの辛い出来事や、信じられないような悲しい出来事に遭遇することがあります。例えば、あなたにとって、とても大切な方が亡くなったとします。悲しい例えで、ごめんなさい。周りは良かれと思って「いつまでも泣いていたら亡くなった人が浮かばれないよ」、そんな言葉で慰めます。実際、そういう声はかなり多いです。

02:06
こちらとしても、もちろん悪気がないと知っているので、「あ~、そっか。いつまでも泣いていたらいけないな」と、無理に奮い立たせようとします。そうすると「悲しい気持ち」が隠れて宙ぶらりんになってしまうので、結局、ずっとずっと辛い。どうしてか「泣いたらいけない」という風潮がありますよね。小さな頃から泣くと、同級生からはからかわれたり、親や学校の先生からは「メソメソするな!」と怒られて育ってきたので、泣く=悪い象徴、と捉えがちです。でも、きっとそうじゃない。悲しい時は落ち込んで、わんわん泣いて、沈むことだって大事。わたしは思いっきり受け止めて落ち込むようにしています。どうしてか、泣くとスッキリしませんか?ま、泣いたあと顔がむくむのは、この際どこかへ置いておいて。涙をぬぐったらシャキッとして、「よーし、また頑張るぞー!」と新しい一歩が踏み出せるんです。とはいえ、その一歩は弱々しいものだけど。多分、リセットボタンのようなものなのかしら。一時期、泣くための活動「涙活」ルイカツなんて言葉も流行りましたよね。「とことん落ち込みましょう!」って、なんだか変なエールに聞こえるかもしれませんが、「あ、わたしは今、とても悲しいんだ」と、胸の奥にある感情に気づいて拾い上げることが何よりも大切です。それは自分にしかできないから。

04:07
ここにプールがあったとして、もがきながらも底まで沈めば、必ず床に足が着くはずです。そうしたらもうこっちのもの。足に力を入れて床を蹴れば、おのずと浮かび上がりますよね。浮かんだら、思いっきり深呼吸ができるし、腕だってぐーんと伸ばせる。

04:34
逆に「辛くないふり」や「悲しくないふり」をすると、プールの中では中途半端な場所で、浮き沈みを繰り返すだけです。どこにも手や足が着かない。いつまで経っても同じ場所でもがいているので、回復はしないし、むしろ悪化する一方。だからこそ、自分の気持ちに、蓋をしてはいけないんです。先ほどの「いつまでも泣いていたら亡くなった人が浮かばれないよ」という助言。これを「今は思う存分泣くと良いよ」と変えたら、ずいぶんと気持ちが和らぎませんか?

05:22
話が少しズレてしまいますが、ここでわたしが大好きな逸話を紹介させてください。亡くなった方のことを思い浮かべると、空の遥か上ではその方の周りに花が降り積もる。このエピソードを知ってから、「鮮やかな花が一輪でも多く、降り積もりますように。」と願いを込めて、もう会えない家族、もう会えない友人、一緒に過ごしたペットをたくさん思い出すようにしています。

06:05
そろそろおしまいの時間が近づいてきました。できれば頭の片隅に置いて欲しいんですが、しんどいことだけが、この先、永遠と続くわけじゃないんです。どうしようもない悩みを抱えていたとしても、きっといつかは笑い話になります。この「きっといつかは笑い話」という言葉は、わたしにとって座右の銘のようなもので、しんどい時はブツブツと呪文のように唱えますし、子育ての講演会では積極的に保護者の方に伝えるようにしています。

06:49
今、あなたが頭を抱えて悩んでいることのほとんどが1年後には薄れていて、3年後には案外忘れていて、そして、5年も経つと苦々しい話が、笑い話に変わっているはずです。不思議だけど、本当に温かいエピソードになるんですよ。それも、泣けちゃうような笑い話に。悲しい出来事も、辛い出来事も、いつかきっとプラスの力に変わります。だからこそ、悩んだり迷ったり、立ち止まる気持ちに、無駄なことはひとつもありません。

07:35
リカバリー。自分の心を回復するためには、辛い時は辛い、悲しい時は悲しいと認める。感情に蓋をしない。とことん落ち込んだあとは、ゆっくりと立ち上がればいい。そんな風に心がけています。以上、わたしのリカバリーストーリーでした。

08:02
そして、別の回で、皆さんからのご質問を受け付けて答えます。わたしが担当する悩みは「子育て」です。子育てにつきまして、どのような些細なお悩みでも結構ですので、お寄せいただければと思います。そもそも悩みに小さいも大きいもありませんから。詳しい応募方法はリカバリーストーリーのホームページに載せていますので、そちらからお願いします。

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